DX戦略基本方針

代表者メッセージ

「社会の変化は古賀組を待ってはくれない」

株式会社古賀組では、2017年のiPADの全従業員への支給をはじめ、
2025年までの9年間でお客様満足度向上や営業・工事現場の負担軽減・生産性向上を
目的としたBIツールや施工管理ソフト、生成AIを導入したほか、経理業務や勤怠管理でも
デジタル化を推し進め、アナログからデジタルへ、DXで現場の業務改善と
残業削減を達成して参りました。

今後の展望としては、「地域No.1」という大きな目標に向かって、
デジタル技術のさらなる活用と投資を行い、全社で見える化された
情報を元にデータドリブン経営の実施と現場業務改善スピードを上げることで、
お客様満足度向上と従業員満足度向上の両立を強く推し進めて参ります。

株式会社古賀組
代表取締役社長 古賀佐三

DX戦略策定の目的

現状認識

全ての業界においてデジタル化が加速し、働き方の変革を求められています。
市場に関する膨大なデータを持つ企業がそのデータを活用し既存産業に
新たな付加価値をもたらし、 市場全体を席巻しています。
今後、特に建設業界においては人手不足や働き方改革が深刻な問題と
なっていくことが想定されています。

DX戦略の目的

本戦略はこのような「変化」に柔軟に対応し、
我社がデジタルツールをどのように活用していくか、
どのようなデジタル環境を構築するか 、
また既存の仕事のやり方・働き方・組織体制をどのように変革させていくかを
長期的な視点で定め、変化の時代において我社がどう生き残っていくかを「DX戦略」として
示すものです。

DX戦略における基本方針

(1)営業活動や現場管理の改善・改革を継続し、時代とお客様の変化に柔軟に対応し続け、お客様価値を創出します。
(2)仕事の改善・改革を継続し、付加価値の高い仕事を少ないコストで実施して成果を上げます。
(3)DX人材の育成を行います。

DX戦略シナリオ

Phase1:短期課題(1~2年)Phase2:中期課題(3~4年)Phase3:長期課題(5~6年)
リアルタイム経営・データクリーニング指針の作成、それに基づき分析可能なデータの蓄積が大部分に進む
・必要なデータは環境の変化に迅速に対応できるようなデリバリーが可能となっている
・活用できていなかったバリューチェーンを通したデータの活用
・データを元に各業務プロセスにおける判断が行われる
・蓄積データに対してAI活用により新たなお客様への付加価値を創出する
バックオフィス社内顧客情報やマニュアル等を一元化し、業務の標準化を目指す。・BIを活用し経営判断・売上分析を行い成果を上げる。・Chatbot等のAI技術を導入し、ITとバックオフィス業務をシームレスに連携する
業務効率化・業務の要件定義を行う。マニュアル化可能な業務はマニュアルに整備する
・RPA等利用についての社内教育を実施する。
・一部業務の自動化を事業部ごとに実施する。
・RPA等推進担当者が全社の利用状況を把握する
・クラウドネイティブなSaaSを組み合わせ、変化に迅速に対応できるアーキテクチャを構築する
・事業部ごとのRPA等の利用が行われる。
・活用状況はRPA等推進担当者が把握し不効率を調整する。
・一部業務の自動化を事業部ごとに実施する。
・システム間の連携についてはRPA等推進担当者と事業担当者が連携して行う。

・自動追尾測量機器や3Dレーザースキャナー、ドローンなどの最先端デジタル技術で生産性向上を行う。
・ヒトの時間は付加価値の高い仕事に向けられる
人材育成・DX戦略に基づき必要なスキルを定義し、社員に対し就業時間内に勉強会の場を提供する特に「Looker Studio」について全社員が使用できることを目指す・業務システムの保守管理、APIの管理外注のマネジメント能力を持つ人材を各部に配置する。
・社員自身が教師となり社内でノーコードでのシステム作成等の知識とスキル向上の仕組み作り。

・全社員の70%をBIツールとしての「Looker Studio」の作成できる人材とする。
・ITパスポートの取得率を50%にする。
・AIツールとしての「Gemini」、「MRAG」の活用を全社展開する
・「Looker Studio」を用いて分析・提案できるレベルまで到達させる
・ITスキルの習得状況を人事評価制度とマッチさせる。
・AIツールによるマーケティング活動の効率化を行う。

これらの取り組みを段階的に進めることで、「3Dパースソフトなどのデジタルツールを活用したお客様提案の充実」、「ノーコードツールやBIツールを活用した案件管理体制の強化」、「BIツールとAIを組み合わせた分析」、「3Dレーザースキャナーやドローンを活用した現場の生産性の向上」など、お客様満足度や業績の向上を実現できるように取り組んで参ります。

DX人材育成

(1)DX推進人材の育成
新規事業の創出から既存業務の革新まで、社内のDX推進において中心的な役割を果たす「DX推進人材」を育成します。デジタルスキル標準における「ビジネスアーキテクト」や「データサイエンティスト」の役割を担い、単なるツール導入に留まらず、本質的な課題設定から関係者間の調整、そして導入後の成果検証に至るまで、プロジェクトを一気通貫で完遂できる「推進力」を養います。DX推進室設置までに1名、その3年後までにもう1名、合わせて2名の人材を育成します。該当人材の確保のために、IT顧問が実施する研修等への参加など外部リソースを活用して教育を行います。

(2)開発者育成
ノーコード開発ツールを用いて、自社の課題解決のためのアプリやBIを作成できる人材を育成します。全社員の70%がBIツールの「Looker Studio」でダッシュボード等を作成できるように、各部署2名が「app sheet」でアプリを作成ができるようにします。そして、これらのツールについては、社員全員が活用できるようになることを目指します。該当人材確保のために、社内DX勉強会の開催やIT顧問による研修など外部リソースを活用して教育を行います。

(3)AI、その他デジタル技術活用人材の育成
生成AIについては、全社員が活用して生産性向上につなげることができるように社内教育を実施します。また、その他最先端デジタル技術である「ドローン操縦」や「3Dレーザースキャナー使用」等に精通した専門人材も適宜育成を行います。これらデジタル技術の活用により、部門を超えて業務生産性向上を実現する人材を目指します。該当人材の確保のため、生成AIについては社内DX勉強会を通して行い、最先端デジタル技術の専門人材については、メーカーなどが実施する研修など外部リソースを活用して教育を行います。

(4)ITパスポート取得支援
社内DXを推進するにあたって社員のDXリテラシーの向上を図るため、ITパスポートの資格取得支援を行います。これにより、活用スキルのみならず情報セキュリティやコンプライアンス(法令順守)に関する意識を高め、高い倫理観とリスク管理能力を持って業務に従事できる人材を育成します。この資格の取得を一定水準のDXリテラシーが身についているかの判断基準とします。取得者を「合格お祝い金手当」と「技能手当」の支給対象とし、積極的な取得を促して5年後に取得率50%を目指します。

(5)スキルマップの作成
社員のDXスキルの把握や新たなスキルの取得を促進するため、役員を含む全社員のスキルマップを作成して管理を行います。スキルマップ作成は、DX推進室設置後(2026年1月)に予定しています。

(6)DX推進のための定期的なAI精通企業との情報交換
定期的に対面やオンラインにて、情報交換の場を設けて業務改善に活かしています。

DX戦略推進予算の考え方

弊社は、中長期のDX戦略シナリオを達成するために、必要な予算を継続的に確保しています。中長期的なロードマップに基づき、ツールやインフラへの投資はもちろん、それを使いこなす人材の育成や組織風土の醸成に対しても十分なリソースを配分します。これらの予算は単なるコストではなく、未来の企業価値を創造するための重要な「投資」と位置付けており、失敗を恐れずに新たな技術やビジネスモデルへの挑戦を奨励する文化を醸成しています。

DX推進のための環境整備

・2017年:iPAD全従業員支給開始
     スピード決裁導入
     オフィス365導入
・2019年:ANDPAD導入
・2020年:ジョブカン導入
     BIツール「データポータル(現ルッカースタジオ)」導入
     データポータルチーム(現DXチーム)編成
・2021年:Googleワークスペースへ移行
      IT業務改善プロジェクトチーム編成
・2022年:ドローンを用いた屋根外壁診断サービス提供開始
・2023年:ANDPAD機能拡張(インボイス対応)
・2024年:ノーコードツール「app sheet」使用開始
      ITパスポート取得支援開始(「合格お祝い金手当」「技能手当」支給対象として社内規則に明記)
・2025年:生成AI 「Gemini」「MRAG」導入
      電子契約システム「クラウドサイン」導入
・2026年:DX推進室設置予定(1月目途)
      サイバーセキュリティシステム導入予定(4月目途)
      3Dレーザースキャナー活用による測量業務の内製化予定(4月目途)

DX推進の達成度を測る指標

以下の指標をもって、DX推進の達成度を管理します。

既存ビジネスモデルの深化による売上指標
●前年比110%

システム刷新・導入における指標
●全従業員残業時間平均 前年比90%

これらのKPIの進捗は、IT業務改善プロジェクトの月次ミーティングの場で常にモニタリングしています。具体的な施策を実行するチームも月次で振り返りを行っています。計画通りに進んでいない場合は速やかに原因を分析し対策を講じています。事業環境の変化などに対応するため、これらのKPIやDX戦略そのものを定期的に見直すPDCAサイクルを確立しています。

DX推進体制図

DX推進を強化するにあたり、社長直轄のDX諮問委員会、DX推進室を設置しました。
社内勉強会の開催や会社全般のDXツール活用を支援するDX推進チームも設け、
部門を超えて人材を結集し、全社一丸となってDX推進を行って参ります。
新体制は2026年1月より運用します。

新体制(2026年1月より)

旧体制(2025年12月まで)

ステークホルダーへの情報発信

弊社は、DXの取り組みとそれによる経営改善の状況を、社内だけでなく重要なステークホルダーの対しても積極的に発信しております。具体的には、以下の5つの側面から対話を推進し、企業価値の向上に努めています。

(1)DX推進の対外的な明示
DX認定企業としてHPでの情報公開のほか、お配りする名刺やカレンダーに認定ロゴを掲載し、デジタル変革への積極的な姿勢を広く周知しています。

(2)金融機関・専門家との信頼構築
経営方針を記した「経営計画書」の配布や定期訪問にて、目標や具体的な成果の共有を行い、透明性の高い経営で信頼を深めています。

(3)採用活動への展開
社長自らが「DXを推し進める」企業文化やビジョンを会社説明会などで発信することで、デジタル活用に意欲的な人材の獲得に繋げています。

(4)協力会社との共存共栄
パートナー会などを通じてアプリ(Andpad)の活用支援等を行い、サプライチェーン全体での生産性向上と相互成長を目指しています。

(5)異業種交流並びに地域の異なる同業他社・関連企業への情報発信
取引のある異業種の会社、並びにFC本部・FC加盟店をはじめとした関連会社などへ会社見学会を実施して、弊社の取り組みについての情報発信を行っています。

サイバーセキュリティ対策

弊社は情報セキュリティ基本方針に則り、レガシーシステムに依存せずクラウドサービスを積極的に活用することで、常に最新で安全なIT環境を維持してお客様からお預かりした情報資産の保護に努めております。しかしながら急速に電子化・デジタル化が進む昨今、社内IT資産の管理、そしてサイバー攻撃による情報資産の流出や喪失に備えてサイバーセキュリティをより強化することなどが急務であると認識しています。お客様の情報保護、及び会社資産を守るため、下記のことに取り組みます。

(1)サイバーセキュリティに関するBCP(事業継続計画)の策定
現在弊社が策定しているBCPは、火災や水害に対応するための物理的な対策にとどまっています。また、現在実行しているサイバーセキュリティ対策としても、データはクラウドに保管しバックアップを実施するというものに限定されています。そのため、サイバー攻撃に対応するため、システムダウンやデータ消失を想定した復旧手順を新たに策定、及びその対応訓練を実施します。ランサムウェア被害や不正アクセス発生時の初動対応、バックアップデータの保護、そして代替手段による業務継続フローを具体化し、万が一の際もお客様への影響を最小限に留める、強靭な事業継続体制を整備します。

(2)第三者監査の実施
これまでは社内リソースによる自主点検を中心に対策を行ってまいりましたが、高度化・巧妙化するサイバー攻撃に万全を期すため、外部専門機関によるセキュリティ監査の導入を計画しています。 社内の視点だけでは発見が難しい潜在的な脆弱性を第三者の客観的な視点で洗い出し、専門的な知見に基づいて継続的にセキュリティレベルの向上を図ります。

(3)情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)の配置
セキュリティ対策の実効性を高めるために、国内唯一の情報セキュリティ分野の国家資格である「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」の有資格者を社内に確保・配置する体制を目指します。最新の脅威動向や法規制に精通した専門人材が中核となり、組織全体のセキュリティレベルを継続的にコントロールすることを目指します。

(4)プライバシーマーク(Pマーク)の取得
お客様からお預かりする個人情報を適切に保護・管理することは、企業の社会的責務であると考えています。 その証として、日本産業規格「JIS Q 15001(個人情報保護マネジメントシステム)」に適合した体制を整備し、第三者認証制度である「プライバシーマーク」の取得を目指します。客観的な基準に基づいた厳格な管理体制を構築することで、より安心して取引いただける企業への成長を図ります。

作成日:2023年12月18日
更新日:2025年12月11日